Tommyの乱読のススメ

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グローバリズム後の世界では何が起こるのか?/高岡望

 

グローバリズム後の世界では何が起こるのか?

グローバリズム後の世界では何が起こるのか?

 

こんばんは。

毎週火曜は英会話に通っているのですが、今日はブログで記事にしたGAFAの話で盛り上がりました。

 

tommy-june.hatenadiary.com

 

こうして小話の幅が広がるのも読書の効用ですね。

 

さて、本日は私があまり強くない国際社会についてです。

 

 

21世紀の世界政治のルール


国際政治を支配するゲームのルールが20世紀型から21世紀型に変わった。
そのため、昨今、一見想定外に見えるような事態が起こっています。
本書では以下の仮説に基づき論を展開します。

 

・世界全体が21世紀に入り、100年に一度の大転換を迎えた。
・大転換後の21世紀には、グローバリズムに対抗して、世界各地でナショナリズムが復活し、盛り上がる。
・そして、世界の4つに主要地域に、それぞれの盟主が出現し始める。

 

アメリカ

戦況はグローバリズム対ナショナリズムでした。
エリートたちが支持するグローバリズムでしたが、これは数々の問題を深刻化させたため、アメリカ社会を分断していました。
具体的には、経済格差、不法移民による治安悪化、愛国心・戦争への関心低下による退役軍人たちの怒りが挙げられます。
グローバリズムの中で忘れられた人々を政治エネルギーにして誕生したのがトランプ政権でした。

生活環境の悪化により苦しみ、怒りを共有したナショナリストたちの感情は、単なる福祉政策や職業訓練では解決できないところに来ています。

 

ヨーロッパ

イギリスの離脱が起こったEUですが、今や一枚岩とは言い難い状況にきています。
これまで、EU統合はグローバル経済において、アメリカの後塵を拝すのではなく、ヨーロッパの復権を果たすという目的意識がありました。

EUは官僚的な組織形態で、庶民に発言権がなく、ファシズムを出現させた歴史から、ポピュリズムを問題視する土壌もあり、EU統合が推進されてきました。
ただ、今やこの共同体はグローバル化の急激な変動についていくことができず、ギリシャ金融危機、欧州難民危機に端を発し、EUへの反発が高まり、ポピュリズムの賛同が得られつつあります。

今後、EU内部での多様化やドイツの台頭などが予想されますが、統合共同体という性質上、ナショナリズムの台頭については不確実性を帯びています。

 

中東

20世紀ではパレスチナ問題と戦略石油資源の動向が、中東情勢を左右していたが、そのどちらも国際的には現状維持・平和的解決路線を貫いており、予測可能性がありました。
ただ、21世紀に入り、アラブの春・シェール革命が情勢のドライバーとなりますが、そこには予測不可能性が生じてきました。
ソーシャルメディアの登場は、表現の自由がない強権国家では革命的変化をもたらすということがアラブの春で明らかとなりましたし、シェール革命は、アメリカ・ロシア・サウジアラビアの三つ巴の産油国争いによる不透明さをもたらしました。

中東はその歴史的背景から民族・人種が複雑に入り組んでおり、ナショナリズムの形成に濃淡があります。そして、グローバル化の中で地域の流動性がより高まり、さらに問題を複雑化させています。

主要な問題に、エルサレム問題、イラン核合意の問題がありますが、
前者はユダヤ人を国民に抱え、中東に武力介入が出来るアメリカの位置付けがより高まることが予想されますし、
後者はアメリカの二次制裁を恐れ、西欧諸国はこの問題から撤退しましたので、アメリカとイランの問題という世論になってきています。

 

中国

20世紀前半は東アジアの覇権は日本がとっていましたが、20世紀末にはアメリカの一人勝ち状態となっていました。
しかし、21世紀になり、発言権を増した中国が台頭します。
市場主義経済と共産党独裁政治が融合した独自の体制で、中国は徐々に国際的な地盤を固めていきます。
なお、国境と民族が一致している中国は、グローバリズムとナショナリズムの葛藤に苛まれることはなく、一貫して民族国家路線をとっています。
「一帯一路」は中華民族の復興を成し遂げようとするナショナリズム高揚策であり、世界の覇権をとろうとする思惑見えます。

 

これからの覇権争い

民主主義が秩序立って行われるアメリカの盤石の体制は変わりません。
ヨーロッパはEU内部の足並みが揃わず不安定、中東は民主主義が成り立っておらず政治に不安定さがあります。
中国は民主主義は不完全ですが、他の諸国の異なる論理で動いています。ただし、人口減少等の社会問題の解決や技術・金融・軍事部門の成長が課題となります。
結果、アメリカの覇権に中国(それにロシア)が迫るという構図になると思われます。
そうした情勢の中、日本はどうすべきか?
民主主義のシステムが成熟している日本は、その地盤を生かし、国際社会でも民主主義的な合理的な判断が問われることとなります。

 

感想

グローバル化について、今起きていることとこれから起きることを書いた本でした。

個人的にはインドやロシアを描かないと片手落ちじゃないかなぁと思いましたが、

筆者がヨーロッパ、アメリカ、中東に駐在経験ありと書いてあったので納得。

自分のバックグラウンドを活かしたのですね。

他の地域については別の本で補います。

にわかには信じられないことが起きる現代、でも歴史的な背景を見れば、(結果論かもしれないけど)理由は見えてきます。

考える土壌を作るために教養を深めます。

正直、中東情勢は勉強不足を痛感しました。読書の課題が見つかったとプラスに捉えます! 

ではまた明日〜。