Tommyの乱読のススメ

ノンジャンル読書と雑記の混沌としたブログです。

【SNS社会の繋がってしまう恐怖】スマホを落としただけなのに/志駕晃

 

スマホを落としただけなのに (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

スマホを落としただけなのに (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

 

 

おはようございます。

秋真っ盛りの今日この頃ですが、

靴下を履くのがめんどくさく、未だにサンダルで外出しています。

…段々冒頭のネタがなくなってきました。

 

さて、読書ストックができたので、本日は更新二本立てでいきます!

 

1本目は久々のミステリー。

実は『首無館』と同じ日に読み終わっていたのですが、

ミステリーが続くと「全然乱読じゃないじゃん」というツッコミが不可避ですので、
しばらく温めていました。

ですが、来月映画化されるらしいので、その前にレビュー書いておこうかと。

 

まとめると…

  • 身近な人がスマホを落とすと自分の個人情報も危険。
  • サイコパス気質とハッキング能力が共生すると手に負えない。
  • SNSでやりとりしている相手はなりすましではないですか?

 

 

謎(トリック、伏線、独自性)★2

犯人の視点から手口が描かれており、謎としては「フーダニット」だけです。

ただ、どちらかといえば展開を楽しむサスペンスの要素が強いです。

犯人当ては証拠を掴むのは不可ですが、手口から「多分コイツが犯人」という予想はすることができます。それほど難しくないです。

ただ、麻美はあることから犯人に気づくのですが、なんでそれまで気付かないんだ…って思いました。謎解きが本筋ではないとはいえ、その点の不自然さが拭えません。

また、最後に衝撃の事実が明らかになりますが…与えられた情報で推理するのは困難でしょう。これは謎解きすることは諦めて素直に驚くのが吉かと。

 

人物描写(キャラクターの魅力、共感)★3

どうしても恋人の富田君の無能さと能天気具合に引っ掛かりが…。

犯人視点で行動背景などが描かれていたのは良かったです。サイコパスの気持ちは全く理解はできませんが、そういう考え方もあるんだなぁと。

各キャラクター、漏れなく描かれている印象。

 

文章表現力★2

文章力よりも勢いが優っている感じです。スピード感があってスイスイ読ませます。

ただ、引き込むような迫力に欠けたのが残念。

 

プロット(ストーリーライン)★3

テーマは我々の生活に密接に関連しているので面白いです。

本作は犯人、麻美(ターゲット)、警察の3つのパートが交互に進むことで話が展開していきます。

犯人と麻美の視点は面白いです。ITセキュリティや電脳上でのコミュニケーションをめぐるせめぎ合いが描かれています。

ただ、どうしても警察のパートが蛇足に感じてしまいました。捜査が迫っていく緊迫感もなく、最後は取って付けたように繋げた感が否めませんでした。

 

感想

ということで、設定は素晴らしかったと思います。

携帯電話の登場でクローズドサークル描きにくくなったミステリーですが、本作はそのツールを逆に主題にしたという点は社会派ミステリーと言えるでしょう。

ただ、描写が追い付いていなかったように感じられたのは残念でした。

 

繰り返しになりますが、設定力という観点は評価に値すると思います。次作以降、設定に惹かれるものがあれば手に取るかもなぁと思いました。

 

2本目は夜にアップ予定です。ここまでお読みいただきありがとうございました。

では後ほど〜。