スマホを落としただけなのに (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)
- 作者: 志駕晃
- 出版社/メーカー: 宝島社
- 発売日: 2017/04/06
- メディア: 文庫
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おはようございます。
秋真っ盛りの今日この頃ですが、
靴下を履くのがめんどくさく、未だにサンダルで外出しています。
…段々冒頭のネタがなくなってきました。
さて、読書ストックができたので、本日は更新二本立てでいきます!
1本目は久々のミステリー。
実は『首無館』と同じ日に読み終わっていたのですが、
ミステリーが続くと「全然乱読じゃないじゃん」というツッコミが不可避ですので、
しばらく温めていました。
ですが、来月映画化されるらしいので、その前にレビュー書いておこうかと。
まとめると…
- 身近な人がスマホを落とすと自分の個人情報も危険。
- サイコパス気質とハッキング能力が共生すると手に負えない。
- SNSでやりとりしている相手はなりすましではないですか?
謎(トリック、伏線、独自性)★2
犯人の視点から手口が描かれており、謎としては「フーダニット」だけです。
ただ、どちらかといえば展開を楽しむサスペンスの要素が強いです。
犯人当ては証拠を掴むのは不可ですが、手口から「多分コイツが犯人」という予想はすることができます。それほど難しくないです。
ただ、麻美はあることから犯人に気づくのですが、なんでそれまで気付かないんだ…って思いました。謎解きが本筋ではないとはいえ、その点の不自然さが拭えません。
また、最後に衝撃の事実が明らかになりますが…与えられた情報で推理するのは困難でしょう。これは謎解きすることは諦めて素直に驚くのが吉かと。
人物描写(キャラクターの魅力、共感)★3
どうしても恋人の富田君の無能さと能天気具合に引っ掛かりが…。
犯人視点で行動背景などが描かれていたのは良かったです。サイコパスの気持ちは全く理解はできませんが、そういう考え方もあるんだなぁと。
各キャラクター、漏れなく描かれている印象。
文章表現力★2
文章力よりも勢いが優っている感じです。スピード感があってスイスイ読ませます。
ただ、引き込むような迫力に欠けたのが残念。
プロット(ストーリーライン)★3
テーマは我々の生活に密接に関連しているので面白いです。
本作は犯人、麻美(ターゲット)、警察の3つのパートが交互に進むことで話が展開していきます。
犯人と麻美の視点は面白いです。ITセキュリティや電脳上でのコミュニケーションをめぐるせめぎ合いが描かれています。
ただ、どうしても警察のパートが蛇足に感じてしまいました。捜査が迫っていく緊迫感もなく、最後は取って付けたように繋げた感が否めませんでした。
感想
ということで、設定は素晴らしかったと思います。
携帯電話の登場でクローズドサークル描きにくくなったミステリーですが、本作はそのツールを逆に主題にしたという点は社会派ミステリーと言えるでしょう。
ただ、描写が追い付いていなかったように感じられたのは残念でした。
繰り返しになりますが、設定力という観点は評価に値すると思います。次作以降、設定に惹かれるものがあれば手に取るかもなぁと思いました。
2本目は夜にアップ予定です。ここまでお読みいただきありがとうございました。
では後ほど〜。