こんばんは。
今日は嫁がダウンしたため、いつもに増して子供の面倒みたり、家事をしていたら1日が終わりました。
読書に割く時間はありませんでしたので、ストックを切り崩してレビューを更新。
さて、今回はこちらの本。中公新書へのリベンジマッチです。
まとめると…
- 国家の枠組みとしても社会は王政撤廃後に個人と共同体を結びつける概念として誕生。
- 17世紀後半から社会と国家は独立したものと見出される。
- 社会は均一なシステムではなく、有機的なプロセスとみなすべき。
社会の発明
社会が国家など全体の枠組みとして見なされたのは近代に入ってからのことでした。
17世紀、ローマ帝国解体や清教徒革命など諸国が支配をめぐって争った結果、王政が撤廃され、国民意識が強化されました。
その中、自然権を政体に委譲する国家主権的な統治をうたったホッブズ(詳しくは以下リンクに譲ります)、また、人民の総意「一般意志」を絶対視する人民主権を掲げたルソーといって社会契約の考えが生まれます。
この根底には、王政に変わる権威および個と共同体を結びつける概念の必要性に迫られたことから社会の通念が必要となった事情があります。
社会の発見
ただし、上記の概念は国家と社会を同一視した考えから抜け出していませんでした。
以降、社会は国家と別のものとして発見されていきます。
17世紀半ばから、国家は国土管理や調整のために権力を行使するようになります。一方、アダムスミスが論じるように社会は功利的な個が分業を経て形成するもので国家からは独立したものと論じます。
このように、社会は国家から「まなざされる」対象として、他方、構成員からは生産と消費(と言論)の場として見出されることになります。
以降、社会経済が発展するにあたって、社会問題が深刻化していきますが、政治がそれに対応できなかったことから、社会が独自に問題解決すべきとする社会主義思想が誕生していきます。
社会はシステムかプロセスか
社会はどのようにして成り立っているのでしょうか?
社会学の祖であるコントは、「社会はシステム」であり、「構成員をどのように結んで社会の統一を図るのか?」ということを主題にしました。
この議論をデュルケムが発展、「分業が社会的連帯を形成する」と理論化しました。
こうした見方は社会を包括的に捉えようとする一方、社会を閉じたシステムとして見なしてしまい、外枠を国家と同一視してしまうナショナリズム的な発想につながりました。
また、社会をシステムとみなす考えは、社会内部は均一的・安定的であると考えるもので、内部分裂に対する統合という問題意識は希薄なものになります。
しかし、実際の社会では貧困や文化といった要素が内部分裂を引き起こします。
本書では、社会は各要素が機能的に連関し合う「システム」ではなく、各要素が現状を変えるべく有機的にせめぎあう「プロセス」であるという立場を取ります。
17世紀にスピノザが主張したように、社会は様々な社会編成を含む多様で複雑なものであり、多様な個人が相互作用して多様な善を生む場であるとする主張は、このグローバル化社会において、社会を再創造・再構築する意義を問い直すものです。
感想
哲学と社会学の議論ですね。読書に慣れてきたのか、はたまた波長が合ったからか、読みやすかったです。
こうした本読むと、結論が雲を掴むような話になって、「じゃあどうすればいいんだ?」と問い返したくなること難点ですね。
ちなみに私は上司から「お前はダメだアホだ」と言われたので、
「じゃあどうすれば満足して下さるんですか?」と言い返したところ
「んなことは自分で考えるんだよ!」とぶん殴られそうになったことがあります。
気をつけましょう。
教訓は1つ。
「私の上司は酒癖が悪い」「答えは待っていても来ない」
ということで自発的に考えました。
色々と意見はあると思いますが、私はやはり「グローカル」になることが一つの回答かなぁと思います。
グローバルの中で敢えて地域に根ざし盛り立てる。
グローカルな場は、無数に存在し、多様性を帯び、各々が有機的に作用します。
単位は小さく、社会的な分断は起きづらい(致命的な分断が起きれば、別のグローカルな場として分離する)。
グローバル化と差別化を図りながら、本書でいう社会の本質にも沿っている考えじゃないかなぁと思います。
里山資本主義に影響を受けた考えです。
里山資本主義 日本経済は「安心の原理」で動く (角川oneテーマ21)
- 作者: 藻谷浩介,NHK広島取材班
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
- 発売日: 2013/07/10
- メディア: 新書
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この議論は関連書を読み込んで、もうちょっと深めたいなと考えています。
なお、私の住んでいる地域は神奈川県で変質者出現率NO.1らしいので、
盛り立てるのは別の場所にします。
本日はここまでです。
お読みいただきありがとうございました。
ではまた明日〜。