Tommyの乱読のススメ

ノンジャンル読書と雑記の混沌としたブログです。

【持続可能な社会のために】3つのゼロの世界/ムハマド・ユヌス

 

3つのゼロの世界――貧困0・失業0・CO2排出0の新たな経済

3つのゼロの世界――貧困0・失業0・CO2排出0の新たな経済

 

 

こんばんはー。

 

今日はずっと出かけており、なんとかブログの更新をできている状況…。

つまり、今日は寸劇はございません!…って誰も求めていないか。

ということでいきなりレビューに入ります。

 

本日はこの本。

ノーベル平和賞を受賞したムハマド・ユヌス氏の著書です。前から読みたかったんですよね~。

ということで続きからどうぞ。

 

まとめると…

  • 資本主義による問題の解決には、社会貢献に軸を置いたソーシャルビジネス。
  • 支援は信頼ベースかつ「与える」のでなく「自立させる」ことが重要。
  • 資本主義に替わるシステムを創るために、想像力を掻き立てよ。

 

 

資本主義の欠陥

現代、問題となる富の集中による経済格差は資本主義システムがもたらしたもので、これを内包した社会は持続不可能なものといえます。

トマ・ピケティが『21世紀の資本』でこの問題を指摘、累進課税による解決を提唱しましたが、筆者は原因に目を向けていない不完全なものであるとします。

筆者は新しい経済システムの設計として、ソーシャルビジネスを提唱します。

その定義は以下のとおりです。

人類の問題を解決することに力を注ぐ無配当の会社(p32)

あくまでビジネスですので損は出せない。チャリティと違うことは念頭に置く必要があります。

具体例としてバングラデシュのグラミン銀行を挙げています。この銀行は無担保・法的書類をなしに、貧困者の自立(起業)を支援する目的で少額の貸し付けを行います(マイクロファイナンス)。

教訓は二つで、一つは人は利己的でなく信頼に基づいて行動します。これは信頼ベースの貸付金の返金率が9割を超えていることが物語ります。

もう一つは、人は人の下で働くだけでなく、誰もが起業家になる可能性があるということです。

目標とすべき3つのゼロ

貧困ゼロ

個人の利益を利己的に追及する資本主義の結果、グローバル貿易での不平等や不当競争などが生まれ、貧困が発生しています。

貧困は貧しい人から発生しているのではなく、経済システムから生まれるものであり、解決にはシステム自体を変える必要があります。

ソーシャルビジネスは社会的な見返りを重視し、貧困者が直面する障壁を取り除き、自立して解決できるよう貧困者の創造性を解き放つ働きをします。

失業ゼロ

仕事は探すものではなく、自らが創るものだという認識を持つことが重要。

戦術のグラミン銀行のようなマイクロファイナンス手法による支援は、貧困者をより起業しやすく、また、借金に苦しみにくくする仕組みである。

現行のシステムの下では、貧困者は使用者に使われる労働者という構図であったが、自らが起業者となって、その体制に反旗を翻すことが推奨されています。

二酸化炭素ゼロ

環境問題は生態系や農業にも悪影響を与えています。ただ、この問題自体もビジネスに取り込む起業によって解決がされます。

ただし、この問題はソーシャルビジネスに加えて、利益最優先の価値観を変えることに官民両輪で臨む必要があります

これから持つべき姿勢

すでに若者を中心に資本主義への疑義は広まっており、持続可能性追求のためには、代替システムを考える必要があります。

これからの時代は資本主義の仕組みとそれを支える人間観(利己性)を疑い、新しシステムを創るための想像力を掻き立てる必要があります。

ソーシャルビジネスという新しいツールを含む新しい経済システムは、現在直面している困難を解決しうるものです。

 

感想

かなり簡単にまとめました。キーワードは「持続可能性」ととりました。

途上国支援において問題になるのは、「支援した後どうするか?」にあると思います。たとえば、水道システムを作ってあげたけど、維持の仕方がわからなくって、結局逆戻りみたいな事例はよく聞くものです。これではハコモノですね。お金をかけても、そこで終わりではないのです。

本論の面白いところは、貧困者に自立して起業させるということです。これであれば、維持の仕方がわからないといった、支援地と支援内容の非連続性が生まれません。また、そのビジネスが現地に根差しているので、その後もビジネス展開を続けていける継続性もあります。

1点、大きなハードルは、貧困者が起業アイディアを思いつけるような文化・教養レベルにまで引き上げなければならないということでしょうか。これはかなり重いと思います。途上国においては識字率が30%程度の国もちらほらあったり…最低限度の教育を普及させる必要があります。しかもその最低限度はなんぞや…と考えると…(遠い目)

ただ、利益を富が集中する国に集中させるのは、経済成長率をみれば、疲弊感が出てきています。それよりも、途上国にお金を回すことで、先進国一極集中から経済のパイが広がり、世界的には持続的な経済成長を果たせるのではないかとも思います。超長期的に見ればWin-Winなのでは?

ただ、ソーシャルビジネスはいうのは易し、思いつくのは本当に大変だと思います。なんだかんだ言ってビジネスですので、事業性がないといけないですし。日本人が最も苦手としそうなジャンルかと思います。でも考えることを放棄するより考えることがずっと大事。

 

今日はここまでです。

お読みいただきありがとうございました。

ではまた明日~。