こんばんは~。
本日は話題に乗っかり、久々のミステリー。
以前レビューした『スマホを落としただけなのに』の続編をレビューします。
スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)
- 作者: 志駕晃
- 出版社/メーカー: 宝島社
- 発売日: 2018/11/06
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログを見る
なお、今回のレビューは個人の感想を多分に含んでおり、人を選ぶと思います。
そのため、ご懸念される方は『続きに進まない』方が良いと思います。
また、前回の記事で筆者の名前を誤って表記しておりました(現在修正済み)。
申し訳ございませんでした。
まとめると…
- スマホを落としてすらいないのに事件に巻き込まれる不幸な人々
- 人格崩壊気味の登場人物たちが織りなす珍道中
- モチーフは多分あの作品
あらすじ
神奈川県警生活安全サイバー犯罪対策課の桐野良一はあるPCから、死体で見つかった女の情報を探っていた。そのPCは、「丹沢山中連続殺人事件」の犯人のものだった。秘密を探るうち、犯人は桐野にある取引を持ちかけ――。その頃、巨額の仮想通貨流出事件が発生。セキュリティ会社で働く美乃里のもとに、ハッカーらしき男からコンタクトがあり……。情報化社会の恐怖を描くサイバー・サスペンス!
謎(トリック、伏線、独自性)
正直、ミステリーなのかと悩みました。サスペンスと捉えるべき作品でしょう。
サイバー世界での攻防がメインのため、謎はほぼなし。
これは「読む価値なし」を意味するのでなく、当ブログの評価軸に合っていないだけで、
「本作の醍醐味はここにはない」ということを承知いただければと思います。
(以下、ややネタバレにつき、見たい方はドラッグして下さい)
謎はフーダニットくらいしかありませんが、決定的な手掛かりは一切なく、アンフェアです。
その点も本書が謎を解くミステリーでなく、展開を追うサスペンスと位置付ける理由です。
人物描写(キャラクターの魅力、共感)
辛口ですが、私は駄目でした。
はっきり言って、主人公である桐野に一切共感できません。
恋人は放置、病気の母親すら放置、そのくせ仕事では異常にリスクを取りたがる。人間的にヤバい。
極めつけは、マルウェアをばら撒くサイトを開いた恋人に対し、専門家のはずの桐野がかけた一言。
「くれぐれも気を付けて」
いや、なんかアドバイスしろや。せめて「落ち着いて」とかさ…。
恋人もかなりお花畑な頭なのですが、紙面が足りないのでここまでで。
あ、前回登場したあの人が再登板しますよ。
文章表現力
相変わらず、すっと読ませるスピード感はありました。
ただ、前作と変わっていないという印象があります。
出版が時期尚早だと思います。
プロット(ストーリーライン)
ネタバレ注意↓(見たい方はドラッグして下さい)
多分、筆者は『羊たちの沈黙』をやりたかったんだと思います。
サイバー世界の展開は、知識に基づき地に足がついている感じですが、
前回と変わらずリアルパートがとってつけた展開になっているのが残念。
しかも今回は前作のような大きな伏線がないに等しいですし…。
感想
辛口ですが、もう少しじっくり練ってほしかった。まぁ流行ってるうちに出したかったんでしょうが。
ミステリーという枠を外しても、粗が目立つ内容で正直残念でした。
本当は記事を書くか相当迷ったのですが、
レビューを書いているサイトがあまり見当たらなかったので、第一陣として筆を執りました。
(私個人の感想であり、ネガティブ・キャンペーンの意図は一切ありません)
筆者のサイバー世界の知識は際立っていることが再確認できたのは収穫。
いっそサスペンス要素を排して、サイバー世界に特化し、
正義のホワイトハッカーを主人公にする作品を書けばいいのでは?と思います。
『クロサギ』みたいな感じですね(もう書いてたらごめんなさい)。
前回の記事で、次回作に期待したからこその評価でした。
〈前作の記事です〉
今回はここで切り上げておきます。
本日はここまでです。
お読みいただきありがとうございました。
ではではまた~。