Tommyの乱読のススメ

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【世界を救う勇者は土属性?】土 地球最後のナゾ/藤井一至

こんばんは~。

 

本日はこの本です。

「環境」分野の勉強をしたいので、自然科学フェア中…。

 

土 地球最後のナゾ 100億人を養う土壌を求めて (光文社新書)

土 地球最後のナゾ 100億人を養う土壌を求めて (光文社新書)

 

 

まとめると…

  • 「土」は食糧問題解決のカギ
  • 肥沃な土は希少であり局在化。現時点で有効な手立てはカネ。
  • 日本の土資源は世界でも希少なことを知っていましたか?

 

 

土とは?

本書の問題意識は、「将来の世界人口100億人を養える肥沃な土はあるのか?」からスタートします。

ここでは土を「岩の分解したもの(粘土)と腐植や死んだ動植物の混ざったもの」と定義します。
土は一様なイメージを持つようですが、12類型に分けられ、地域により特徴が異なります。
(土は何色と聞かれて、茶色と答える人もいれば、黒、赤っぽい茶、白と答える人もいます)

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武論尊・原哲夫『北斗の拳』


土を使った栽培は、使わない方法に比べて、スピードや作物の大きさで劣りますが、

イオン交換反応が活発で栄養分を含みやすく、経済的という側面があります。

これは、経済格差が主因の食料問題の解決に、土が果たしうる役割を示す特性となります。

 

肥沃な土を広げるには?

ただし、肥沃な土は希少であり、局在化しています。

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色が濃いほど肥沃 https://www.nature.com/articles/ncomms1053/figures/6

その偏り具合たるや、現在、12種類の土のうち、
半分の種類の土で世界人口の大部分をまかなっている事実から明白です。

かの緑の革命(食糧増産イノベーション)も、肥沃な土壌での生産効率を高めたのみで、

痩せた土壌での生産を高めたわけではありませんでした。

確かに、化学肥料などの土壌改良によるアプローチは可能ですが、カネの力によるもので、

持たざるものである途上国では採択しにくい施策です。

今後は、このカネの呪縛を打ち破る方法を打ち出すことが急務となります。

 

日本の土の未来は?

日本は世界的にみて肥沃な土壌と言えます。

豊富な水とリンの含有、

また、土壌の酸化時に投入する石灰についても十分な自給率があります。

ただし、その恵まれた土壌も、都市開発による農地面積減少などの脅威を受けています。

世界そして自国の「土」を知ること。

それがこれからの食料問題へ踏み出す一歩となります。

現在、カナダの永久凍土の不毛の地では、白菜が一つ1,800円で売られています。

日本の将来がそうならないことを。

 

どうしても腑に落ちないところ  【追記:解決しました!】

Twitterで呟きましたが、以下の節です。

肥沃な農地分布の片寄りを無視して、70億人で世界の耕地面積16億ヘクタールを公平に分け合った場合を一度考えてみよう。一人当たりの農地はだいたい0.2ヘクタール、つまり14メートル×14メートルの土地面積になる。このうち、すべてを穀物(コメなど)の栽培には使えないので、半分の0.1ヘクタールが穀物栽培に割り当てられている。穀物生産量は世界平均で1ヘクタールあたり3トンなので、一人あたりの穀物生産量は0.3トンになる。現代人の一人当たりの穀物消費量は0.3トンなので、現状では食糧は不足していない。
ところが、農地面積の伸びは徐々に頭打ちの様相を呈している。人口だけが増えて、一人あたりの農地面積が10メートル×10メートルを割り込んだ末には、壮絶な椅子取りゲームが待ち受けている。(p150 太字は弊職)

疑問は単純で、0.2ヘクタールは14メートル四方ではなく、45メートル四方だと思うからです。

1ヘクタール = 100メートル × 100メートル = 10,000平方メートル
0.2ヘクタール = 2,000平方メートル ≒ 45メートル × 45メートル
(ちなみに、14メートル × 14メートル ≒ 200平方メートル)
一桁間違った?もしくは前段の耕地面積16億ヘクタールが違う?

もし、45メートル四方が正しい場合、
「一人あたりの農地面積が10メートル×10メートルを割り込」む未来はまだまだ来ないのでは?

と思ってしまいます。

 

もちろん、私自身、食糧問題への危機意識はあり、

この脅威を否定するつもりは毛頭ありませんし、揚げ足取りのつもりもありません。

ただ、どこかの数字に誤りがあるとしか思えず、本書の説得力を大きく損ねています。

(私の認識が誤りであることを祈っています)

 

感想

上であんなこと書いてますが、非常に面白かったですよ。


元々、私は将来の食糧問題はテクノロジーが解決するという論調には懐疑的でした。

ただ、それは感覚的なもので、いずれ現状を理解しないとなと思っていました。

そんな中、本書は渡りに船でした。


軽快かつ自虐的な文章は、クスっと笑いながらページをめくらせてくれました。

こういう(文字どおり)泥臭い研究結果をみるのは大好きです。

12種類の土を求める冒険譚もワクワクしながら読めました。

全種制覇しても、「願いが叶う」でも、「世界をかける神の鳥が手に入る」でもないのですが、

求めてしまう気持ちはわかります。ロマンですね。いや仕事か…。

 

初代ポケモンなど、従来のRPGではどうしてもかませ犬感が強かった

土(地面)属性ですが、これから日の目を見るか?

将来の食卓は君たちにかかっている!

 

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Dragon Quest



 

本日はここまでです。

お読みいただきありがとうございました。

ではではまた明日~。