Tommyの乱読のススメ

ノンジャンル読書と雑記の混沌としたブログです。

【自由や民主主義への理解、確かめませんか?】大人の道徳/古川雄嗣

こんばんは〜。

 

本日はこの本。

タイトルに惹かれて衝動買いしてしまいました。

道徳性のカケラもない本ブログですが、少し高尚な議論もしてみますか…。

あれ?自然科学フェア中じゃないの?そんなこと誰も覚えちゃいない、さらっと流してやるぜ…。

 

大人の道徳: 西洋近代思想を問い直す

大人の道徳: 西洋近代思想を問い直す

 

 

 

 

まとめると…

  • 理性は何ものにも先立って存在するすべての正しさの根拠
  • 湧き上がる本能と欲望を理性により制御し、滅私奉公することこそが人間の条件
  • 民主主義国家では市民=国家。国防も市民の仕事だよ?

 

 

近代とはいかなる時代か?

近代においては、理性に基づいて「考えること」が重要になります。

以前は、科学は自然現象を支配する神を知ることという位置づけでした。

しかし、近代になると、合理主義・民主主義・資本主義により自然を支配することに焦点が移ります。


近代的人間像

近代においては、理性こそが何ものにも先立って存在するすべての正しさの根拠であり、

快楽を求める自然な欲望(心の傾き)に対し理性によって自律的に逆らうことこそ人間の条件となります。

「やりたいことをやろう」というのは、一見自由なようですが、

本能と欲望を理性で制御できず、それらに隷属していると言えます。

究極的には、滅私奉公することこそ人間の条件ですが、現実問題、生活のために私の追求も必要です。

よって、実際には「半分市民、半分奴隷」であることが人間の条件となりますが、

昨今、市民をつくるはずの教育が私欲を追求する奴隷を作るものへ偏向しています。

 

民主主義への誤解

近代国家の根底にある社会契約論に基づくと、国家と市民は不可分であり、

市民は国家を担う主権者であるとともに、統治に服従する臣民でもあります。

当初のホッブズやロックの社会契約論は、国家と市民を二項対立させた概念でしたが、

ルソーは王政が倒れたあと、市民が国家を形成する共和制思想を展開しました。

このことは、国家の仕事である国防が、究極的には市民の仕事へと収束し、

「市民は国家のために死ななければならない」という解釈にたどり着きます。

これが近代民主主義の礎となったルソーの思想ですが、

日本では戦後レジームとの際どい関係性からタブー視され、まともに理解されていません。

このことが、日本における真の市民・民主主義思想が根付かない要因となっています。

 

学校のあり方

民主主義は、政治的民主主義(市民)と経済的民主主義(奴隷)に分けられますが、

これは先に述べたとおりで両方とも必要になる見方です。

近年は社会と学校の距離が近く、学校は社会の影響を受けて社会迎合的なつくりとなってしまい、

奴隷教育に傾いてしまっている嫌いがあります。

そうではなく、学校教育は市民をつくるという機能に集中し、社会から閉ざされ、

自然や経済の影響から離れて自由を保守することが必要という主張も論じられています。

 

感想

これは面白い本です。筆者の世捨て人感が良い!

道徳という踏み込みづらい内容に対し、日本人の誤解という観点で切り込み、

多くの読者にとって新鮮な驚きを提供しつつ、解き明かしていきます。

 

ただ、主張が日本人にとって中々に派手なため、批判的に見ることが必要です。

例えば、「半分奴隷、半分市民」から、理想とされる完全なる市民になるためには、

「経済活動に専念する奴隷を復活させることが最適解なのでは?」という極論も生みかねません。

これが皆さんにとってこの主張が受け入れがたいことを望みますが、

ともかく、極論を議論できるというのは、思考の枷を外すことに繋がり、

新しい気づきを生み出してくれる可能性があります。

 

また、社会契約論はいいとこ取りだけ引用されますが、実際は本書にあるように国防にも触れています。

だけど都合が良くないのか、イマイチ語られません。この記事なんかは触れていますが。

徴兵制は人権思想・民主主義が生み出した(田上嘉一) - 個人 - Yahoo!ニュース

そのため、学生の方は導入本ではなく、原書に触れてみてください。

古典特有のくどい表現に苦しむかもしれませんが、得るものは多いと思います。

 

さて、社会契約論に出てくる『リヴァイアサン』ですが、

最近はどちらかといえば、ゲームなんかで出てくることが多いですよね。

そう、召喚獣です。私もFinal fantasy Vの冒険中にお世話になりました。

ただ、彼らはどうも元ネタと一致しないこともしばしばです。

ちょっと見ていきましょう。

 

エントリーNo.1 リヴァイアサン

f:id:mat-tsun:20181114200419p:plain
f:id:mat-tsun:20181114173904p:plain
f:id:mat-tsun:20181114173900j:plain
https://ja.wikipedia.org/wiki/レヴィアタン / Final Fantasy V / ホッブス『リヴァイアサン』


元々は海に生息する大怪物を表します。まぁこれは忠実ですね。

ちなみに右の社会契約論のリヴァイアサンはこれをオマージュした大きなオッサンで、

人間が集まって出来ています。キメェ。

 

 

エントリーNo.2 グラシャラボラス

f:id:mat-tsun:20181114174046j:plain
f:id:mat-tsun:20181114173915j:plain
https://ja.wikipedia.org/wiki/グラシャ%EF%BC%9Dラボラス / Final Fantasy Ⅷ


マイナー召喚獣。

元ネタはソロモン72柱の悪魔で、アイアイを彷彿とさせる可愛い珍獣(悪魔だよ!)。

ただ、なんで電車になったし…。

召喚効果も地味の極みで、神話オタ・鉄オタ双方から総スカンを喰らった不遇な子。

 

エントリーNo.3 バハムート

f:id:mat-tsun:20181114201327j:plain
f:id:mat-tsun:20181114201322j:plain
f:id:mat-tsun:20181114174112j:plain
https://ja.wikipedia.org/wiki/ベヒモス → http://chahoo.jp/bahamut/ →Final Fantasy X


なぜか大出世した奴。

いや、お前元々そんなかっこよくないからね。

何食わぬ顔で竜っぽく振舞ってるけど、元々はどう見てもカバ(左中段)ですよ?

イスラム圏に入ると進化するけど、それでも(中央)だからね。

 

道徳はどこいった…。

 

本日はここまでです。

お読みいただきありがとうございました。

ではではまた明日〜。