Tommyの乱読のススメ

ノンジャンル読書と雑記の混沌としたブログです。

【我々の行動はグダグダ】行動経済学/ミシェル・バデリー

こんばんは~。

 

昨日はお休みしてしまいましたが、そんな中、少なからずの方々に訪問いただきました。

有難さと申し訳なさが共存している複雑な心境です。

 

寒くなってきたからか、イマイチな体調が続いておりますが、無理なく細々と続けてまいります。

 

さて、本日はこの本。

セイラー先生の本にチャレンジしようかと思いましたが、

ヒヨった敷居が高そうだったので、初心者向けっぽい本書でお茶を濁すことにしました。

まずは焦らず基礎理論をきちんと学んで、応用に踏み出すことにしましょう。

〔エッセンシャル版〕行動経済学

〔エッセンシャル版〕行動経済学

  • 作者: ミシェルバデリー,依田高典,土方奈美
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2018/09/05
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
  • この商品を含むブログを見る
 

 

 

まとめると…

私たちの認知・計算の限界があり、完全に合理的に判断・行動できるわけではない

行動に当たっては他者の行動を基準に考えてしまい、自身の判断を失いうる

行動を後押しするナッジが公共政策に応用されているが、効果は注視が必要

 

 

なぜ非合理的な行動をしてしまうのか?

私たちは、認知・計算の限界(限定合理性)の上で動いており、ときには行動バイアスに陥ります。

従来の経済学では、ホモ・エコノミクス(利己的で合理的な経済人)を前提としていましたが、

行動経済学では、前述の限界を前提に、理論を組み立てます。

その具体的な限界として以下を挙げています。

  1. 時間選好:遠い未来よりも現在を特別に重視する(現在性バイアス)
  2. 危険選好:期待値が一緒でも、確実な選択肢を重視する(確実性バイアス)
  3. 社会選好:人間は利己的なわけでなく、見返りを求めない利他的行動をとる

 

群集心理

私たちが行動をとるときは、ある基準点(参照点)を想定した上で判断を下しますが、

他者の行動はその社会的参照点となり、ビアプレッシャー(同調圧力)により、

それになびいてしまいます。

特にこれはハーディング現象(群れをつくり行動を共にしようとすること)により、

人々の行動が群衆の行動に引きずられ、個人の持つ有用な情報が看過されてしまう動きに繋がります。

(ハーディングの負の外部性)

本書で引用されたケインズの言葉が、言いえて妙でしたので引用します。

慣習に従って間違えるほうが、慣習を破って成功するより評判は傷つかない(p46)

ケインズの一節とのことですが、原著がわかりませんでした。わかる方教えてください…。

 

ヒューリスティクス

迅速な意思決定のために、ゼロからでなく、何かのよりどころを使うことです。

具体的には以下が挙げられます。

  1. 利用可能性ヒューリスティクス:手に入る情報のみに頼ること
  2. 代表制ヒューリスティクス:類似性・関連性から推察することこじつけ(確証バイアス)や取り繕い(認知的不協和)に繋がり得る
  3. アンカリング:特定の印象に引っ張られること

すべての情報を並べてじっくり検討するわけではないので、バイアスや思い込みなどの影響を受けます。

(この記事でも述べています)

 

公共施策への応用

行動学的公共政策においては、行動の変化を起こさせる仕組みとしてナッジ(後押し)を行うことで、

日々の意思決定や選択を後押しすることを目指します。

f:id:mat-tsun:20181119225557j:plain

なっちではない 『はなまるマーケット』


具体的には以下が挙げられ、現状にとどまろうとする人間の特性(現状維持バイアス)

を利用/乗り越えることに焦点を当てています。

  1. デフォルト・オプション:推奨する選択肢を提示し、そこへ決定を促す
  2. スイッチング:契約乗り換えの手間やコストなどのハードルを下げる
  3. 社会的ナッジ:自身の位置や評価をフィードバックし、良い方向へ導く 

こういった取り組みは短期的には効果を発揮していますが、効果の継続性は注視する必要があります。

 (ナッジは以下のレビューでも取り上げました)

 

感想

導入書としては値段を除けばいい本だと思います。

新書並みの分量、程よい例示、散りばめられたキーワードとバランスがいいです。

自身の経験と照らし合わせればするほど納得できる内容でした。

 

行動経済学は、心理学や社会学的な要素があり、私のような人文系の人間にもとっつきやすく、門戸が広い学問かと思います。

私の知識も活用でき、何より面白いのでこの分野を深めて読んでいこうと思います。

 

さて、実社会への応用として提示されているナッジですが、本質的にはいい概念だと思いますが、

政治施策への応用は、民衆を意図的に誘導しているようで、あまりいいとは思っていません。

吸い殻を投票箱にし、タバコのポイ捨てを減らすよう促す施策はナッジとして有効と思います。

(下参照) 

f:id:mat-tsun:20181119170621j:plain

https://tabi-labo.com/180482/litteringtovote

ただ、政治的な誘導に使い、

後々「あなた方にも選択の機会があったのに、(ナッジによって)無思考に流されただけだ」

と言い繕うのはフェアでないと思います。
筆者も述べていますが、下手に使って後々民衆が気付いて問題になることを考えれば、

私も長期的な効果としては疑問を持っています。

ただ、ナッジという概念を知れば、「あ、コレのせられてんな」と気づけるため、有用かと思います。

敵の手の内を知れ!

 

この概念を悪用利用して、何とか嫁にケルヒャーを買わせたいのですが、思いつきません。

誰か入れ知恵して下さい!

 

(ケルヒャーを巡る嫁との戦いの系譜) 

 

 

本日はここまでです。

お読みいただきありがとうございました。

ではではまた明日〜。

 

 (関連書です)