Tommyの乱読のススメ

ノンジャンル読書と雑記の混沌としたブログです。

【国際秩序はもう限界?】リベラルvs力の政治/ニーアル・ファーガソン×ファリード・ザカリア他

こんばんは~。

急に寒くなった気がしますが、いかがお過ごしでしょうか?

私は、深夜に嫁と子どもに布団をはぎ取られる逆風に耐えながら細々と生きております。

 

さて、今日はこの本。

実は今までのレビュー本とは趣が異なり、対極の論者が議論を戦わせる構成です。

テーマは「自由主義的な国際秩序は終わったのか否か」です。

トランプ政権誕生、Brexit(イギリスEU離脱)が昨今の大きな動きですが、はてさて…。

リベラル vs. 力の政治: 反転する世界秩序

リベラル vs. 力の政治: 反転する世界秩序

  • 作者: ニーアルファーガソン,ファリードザカリア,Niall Ferguson,Fareed Zakaria,酒井泰介
  • 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
  • 発売日: 2018/10/26
  • メディア: 単行本
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まとめると…

  • 「自由主義的な国際秩序は終わったのか」が議論のテーマ
  • 「賛成派」は、アメリカの覇権の終了が国際秩序の終わりを示していると主張
  • 「反対派」は、内政問題・法制度の課題は絶えない変化の中で解決されると主張

 

 

論者の立場

以下の論者がリベラルな国際秩序は終焉を迎えたのかディベートします。

ニーアル・ファーガソン

「世界最高の知性」と称されるハーバード大学教授(歴史学)

「国際秩序は終わった」という立場

ファリード・ザカリア

27歳で『フォーリン・アフェアーズ』編集長に抜擢された最強ジャーナリスト

「国際秩序は終わっていない」という立場

 

「国際秩序は終わった」派 by ニーアル・ファーガソン

グローバリゼーションは恩恵はもたらしたものの、

富の配分は不均衡であり、90年代以降はエリートが富をむさぼる無秩序状態にあります。

また、自由主義のはずのリベラルの現在の最大の受益者が、

一党独裁の中国という機能的矛盾も起こしています。

終戦後、国際秩序は保たれていたと言われますが、

それは圧倒的なアメリカの軍事力に支えられての虚構であり、

9.11以降はその軍事力も正当性を失いつつあり、秩序のメッキも剥がれてきています。

リベラルな国際秩序は途上国に富をもたらしたというが、

国際資本移動も鈍っている中、貧困からの脱出は、当該国内の経済改革に要因があると言えます。

国連の機能不全やEUの限界などを見るに、統一的国際秩序を形成することは難しいと言えます。

 

「国際秩序は終わっていない」派 by ファリード・ザカリア

リベラルな国際秩序は、未完成かつ努力の連続である移ろうものであり、

トランプ勝利やBriexitは変化の一端であり、いずれ秩序の中で吸収される変動です。

確かに常に課題は抱えているものの、それは内政問題と中国への法制度の拡大に集約されます。

内政問題は若者が求める多様かつオープンでフェアな選択肢を与えること、

中国は、昨今は専制さや不寛容性は鳴りを潜め、国際秩序への貢献をしていることから、

両者は解決可能な問題であると言えます。

人類史を見ても、ウェストファリア以前の世界秩序と比べ、現代ははるかに平和な世界です。

また、リベラルな国際秩序によって、最貧国はそこから脱することに成功していますし、

ウクライナなどの国は脅威から身を守るために国際秩序へ組み込まれることを望んでいます。

国際秩序の終焉をうたう論者は、移民や格差問題を引き合いに出しますが、

カナダなどの成功事例もあり、対処のしようはあると説きます。

 

感想(さて、あなたはどちらを支持しますか?)

本書は討議の体で進んでいますが、

実態は攻勢のニーアルに対し、終始防戦のファリードという形で進んでいます。

中間層以下の支持を得る右派・左派的なニーアルvs中道のファリードという立場から、

ファリードは左右両極から挟撃を食らう形になるため、どうしても防戦一方になってしまっています。

 

合わせて、論拠としては、正直ニーアルの方に分があります。

ファリードは人類史という大きな枠で現代を見ているのに対し、ニーアルは近代史から現代を俯瞰しています。

今を生きる現代人にとって、ウェストファリア体制以前の話は臨場感に乏しく、

近代という連続した文脈から見た方が、現代の位置づけを測るにあたって説得力があると言えます。

 

ただ、少なくとも機能不全を起こすまでは協調主義に進んだリベラルな国際秩序は

ルーズベルトなどの政治的な努力によってなされたもので、この点は評価すべきです。

論理的にはニーアルに分があるのは前述のとおりですが、

個人的には希望が見えるという観点ではファリードを支持したい感情もあります。

 

結局どうすればいいのでしょう?ここから先は皆さんの持論があると思います。

理想論を語れば、新たな国際秩序を作ることです。

現実主義的なニーアルは有効性を認めつつ無理だとシニカルに言い放っていますが、

理想主義的なファリードは可能と言います。ただ具体的な道筋が見えません。

解説でも米中の動向次第という玉虫色の結論に徹しています。

 

私としては、この議論が文化といった定量的に測れないファクターを

軽視して進んでいるような気がしてなりませんでした。

 この辺を多角的に掘り下げないと表層的な見解しか出せなさそうですね。

結論は急がず、今後の研究材料とすることにします。

 

こういう議論を戦わせる系の本のレビューは難しいということがよくわかりました。

 

(本書はここの議論と被りそうです)

tommy-june.hatenadiary.com

 

さて、今回はリベラルvs力の政治という対決図でしたが、身の回りに他に奇抜な対決図はないでしょうか…?

 

エントリーNo1 ハブvsマングース

昔沖縄でやっていた見世物。

近年は動物愛護の観点でできなくなっていますが、動画では観ることができます。


ハブ対マングース

 

エントリーNo2 大谷vs大谷

ご存知 大谷翔平とロッテの大谷智久の対決。

ロッテの大谷は『大谷じゃない方の大谷』と呼ばれてました。カワイソス

偽物扱いされるロッテの大谷ですが、

実は選抜優勝投手であり、甲子園での実績は翔平より断然上です…。


大谷翔平 代打ホームラン!! 日本ハムvsロッテ

 

エントリーNo3 ジョン・レノンvs火星人

正確には『ジョン・レノン対火星人』です。

前衛的文芸家である高橋源一郎の代表作。

作風は「これがポストモダンか…」の一言。

ジョン・レノン対火星人 (講談社文芸文庫)

ジョン・レノン対火星人 (講談社文芸文庫)

 

 

…無理してネタを作ろうとして火傷した感じです…。

身の回りは対決がいっぱいですね。平和な時代はいつ来るのでしょう…(適当)。 

 

本日はここまでです。

お読みいただきありがとうございました。

ではではまた明日~。