Tommyの乱読のススメ

ノンジャンル読書と雑記の混沌としたブログです。

【未来の日本の姿のひとつ】献灯使/多和田葉子

こんばんは~。

 

今日は久々に外を散歩しましたが、寒いですね~。

ようやく冬到来ですかね。体調気を付けよう。

 

さて、今日はこの本。

ディストピア系のSFが好きなので、世界観の作りこみに期待。

 

献灯使 (講談社文庫)

献灯使 (講談社文庫)

 

 


 

※ 今回は表題作しか取り上げませんでしたが、他の短編も世界観を共にしています。

まとめると…

  • おそらく3.11後の近未来の日本を描いたディストピア作品
  • 未来の日本はこうなりそうで笑えない
  • 現代社会の様々な現象へのアンチテーゼ

 

あらすじ

大全米図書賞(翻訳文学部門)受賞!
災厄に見舞われ、外来語も自動車もインターネットもなくなり鎖国状態の日本。老人は百歳を過ぎても健康だが子どもは学校に通う体力もない。義郎は身体が弱い曾孫の無名が心配でならない。無名は「献灯使」として日本から旅立つ運命に。
大きな反響を呼んだ表題作のほか、震災後文学の頂点とも言える全5編を収録。

Amazon CAPTCHA

 

緩~いディストピア

基本あらすじのとおりなのですが、鎖国の中、外国語が排除され、使うことの罰則もあり、

一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫)を彷彿とさせる設定もあるのですが、

警察も政府も民営化されており権威を喪失、監視体制は緩くなっています。

アンチとしてのマスコミも、大きな流れにあらがうこともせず、鎖国政策などが押し通されています。

そして、一番奇異なのは、民衆が諦めの境地にあり、怒ることすら忘れてしまっているように見えます。

こうした原動力のない環境で、物語は非常に静かに進んでいきます。

上記の経緯を滑稽に描いていますが、案外日本の行く末ってこうなのかなぁと思ってしまいます。

民意置いてきぼりで進む政策、なぜか取り上げないマスコミ、反対しない市民。

その行く末を表したのが本作であるならば、薄ら寒いことこの上ないです。

 

現代社会へのアンチテーゼ?

主人公の義郎を筆頭に老人は100歳を超えても、意思に反して生き続けねばならず、

一方の若者は病気と死の恐怖に怯え老人に介護してもらう状況にあります。

これは長寿社会と少子化が進む現代へのアンチテーゼになっているような気がしました。

若年層が高齢者を支えるのではなく、高齢者が軟弱な若年層を支えるという逆転現象。

若い世代へツケを廻すことへの皮肉でしょうか?

 

また、義郎が住む東京は、沖縄や北海道・東北に比べて農作物の生産基盤が弱く、貧窮しています。

東京の生活は地域依存の上に成り立っている砂上の楼閣で、自立したものではなかったというのは、

現代の東京一極集中という現象への皮肉かもしれません。

 

感想

従来と比べて随分レビューがあっさりしていない?

ええ、ぶっちゃけ私には合いませんでした。そのためレビューもペンが進まず。

言葉遊びに走りすぎていて、あまり世界観に引き込まれなかったというのが理由です。

全米図書賞をとっているということで、期待値が高すぎたかなぁと思います。

ただ、これって全米図書賞を受賞しているってことですので、英語で読まれているってことですよね?

そうなると、英語で読むと味が違うのかもしれませんね。

 

薄い本と思いきや、読むのは結構骨です。それなりの覚悟で手に取ることをお勧めします。

 

本日はここまでです。

お読みいただきありがとうございました。

ではではまた~。