Tommyの乱読のススメ

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【クラシック音楽の変遷】ベートーヴェンを聴けば世界史がわかる/片山杜秀

こんばんは~。 

 

また記事が消えましたが、はてなProの力なのか復元しました。神か?

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大場つぐみ・小畑健『DEATH NOTE』より

 

 

さて、今日はこの本。

美術については結構触れてきましたが、音楽についてはご無沙汰だったので、この本を。

音楽には疎いので、まずはこの本でさわりを掴みたい。

ベートーヴェンを聴けば世界史がわかる (文春新書)

ベートーヴェンを聴けば世界史がわかる (文春新書)

 

 

まとめると…

  • 原初のクラシックはキリスト教義上の必要性に基づき作られた
  • 宗教革命以降、音楽は大衆化が図られていった
  • その性格は経済や社会背景を反映して絶えず変化していく

 

 

原初のクラシック

クラシック音楽の起源といえるグレゴリオ聖歌は、

神の秩序を反映し、それを表現するというキリスト教義上、合理的な目的のために作られた音楽でした。

 

グレゴリオ聖歌は、唯一神を表すためにモノフォニー(単旋律)であり、

キリスト教義の中で逸脱することはありませんでしたが、

その後、表現の複雑性を求めてポリフォニー(多声音楽)になり、

十字軍などを契機に外的刺激を取り入れるようになりました。

 

宗教革命と音楽

文明の発達により富の蓄積がなされる資本主義社会が進むにつれ、

神の永遠の秩序を掲げる教会の支配力も薄れていきます。

また、こうした背景の中で贖宥状(免罪符)の発行が進むなど、従来の秩序が揺らいでいきます。

そんな中で起きた宗教革命も音楽が民衆に広がる原動力になります。

これまでのラテン語の聖書から、ドイツ語への翻訳を進めていたルターは、

識字率の低い民衆にも教義が伝わりやすいようにと讃美歌の形で信者の参加を図ります。

広く民衆が主体的に参加ができ、個々人が一対一で神に繋がっているという実感をもたらすもの、

その手段として、音楽が使われました。

 

音楽の変遷(現代まで)

ルネッサンスや宗教改革を経て、音楽は世俗の世界に広がっていきます。

ロンドンなどの大都市では、多種多様な人々が経済成長の原動力となっていましたが、

その中で、音楽はコミュニティの結び付きを作る働きをしました。

 

そうした中登場した御大ベートーヴェンの音楽は、中産層以下の市民に寄り添ったもので、

市場経済の中での美徳とされた「勤勉さ」を称賛するものでした。

以下の観点から、市民の共感を得ていました。

  1. わかりやすくしようとする - 市民にとって明快で覚えやすい
  2. うるさくしようとする - 市民が戦乱で感じる圧力を伴う
  3. 新しがる - 伝統に縛られるのでなく、感性の革新

(本書では複雑な上級市民層もリードしたと書いてありましたが、イマイチ伝わってきませんでした)

 

その後、ロマン派の時代になると、市民の娯楽という性格を強めつつも、

権威化も進み、学校の設立などアカデミズムに傾向するという二極化に進みます。

 

そうした分断化が進む音楽会に対し、後進国であるドイツから新たな主張を行ったのがワーグナーです。

当時の音楽は、無国籍な「根無し草」の市民に根差しており、

そういった価値観(人物・富の移動性と親和性の高い資本主義的価値観)に対し、

ナショナリズム的な土着性に根差すべきと訴えました。

彼は、いままでの「音楽鑑賞はブルジョアのステータス」という浮ついた価値観から、

「音楽そのものを楽しむべき」という厳かな価値観を主張します。

 

現代、クラシックとして親しまれているものの多くは、ここまでの19世紀以前のものですが、

近代の音楽は、社会不安などを反映し、旋律が崩壊したもの、

また、そうした不安から逸脱するための刹那的に楽しむものという

従来の音楽とは異質性を帯びていきます。

 

感想

ぶっちゃけあんまり頭に入りませんでした。

浅学な私には、曲名とメロディが一致しないのが厳しいです。

巻末に「音楽ガイドがついていれば…」いいのになぁと思ったのは私だけでないはず。

本書は「学校では学べない世界近現代史入門」の1テーマを膨らませたものとのこと。

音楽史も世界史も中途半端な気がしていたのはそのためか…。

このテーマはあと何冊か読む必要があるなぁと思います。

 

さて、音楽は時代を反映するということで…そう思うと、

どうしても国武万里の「ポケベルが鳴らなくて」を思い出します。


「ポケベルが鳴らなくて」国武万里

 

2019年9月末にサービス終了するポケベル、

平成を生きたポケベルは、その終わりとともに幕を下ろすということですね。

ありがとう、ポケベル!使ったことないけど!

(なお、『金田一少年の事件簿File(10) (講談社漫画文庫)』ではポケベルがなければ金田一少年は詰んでいました)

 

本日はここまでです。

お読みいただきありがとうございました。

ではではまた~。