Tommyの乱読のススメ

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【石油をめぐる米・日・中東】「石油」の終わり/松尾博文

こんばんは~。

 

ちょっと体調がイマイチなので、不定期更新になるかも…といった矢先に更新するヤツ…。

 

今日はこの本です。

エネルギー関係の本は以前読みましたが、

結構面白かったので、この分野を深めようと思いました。

今度は「石油」の観点で分析してみます。

「石油」の終わり エネルギー大転換

「石油」の終わり エネルギー大転換

 

 (前の本)

tommy-june.hatenadiary.com

 

 

まとめると…

  • 脱石油のタイミングは不透明だが、その来るべきときにどう準備するかが肝要
  • 自立・脱中東のアメリカと内政不安定な中東により、石油情勢は不透明
  • 日本は中東依存・再エネの出遅れ・原発問題など難しい立ち位置

 

 

石油は今後どうなるか?

電気自動車の流通などから、昨今脱石油が叫ばれていますが、各国の分析機関は、

石油需要は2030~40年までは伸び続けるという見通しを立てています。

その背景として、①新興国・途上国での従来型自動車の普及、

②電気自動車の実力の不透明性(走行距離の短さや充電時間、値段の高さが課題)を挙げています。

世界のエネルギーミックスは、地球環境問題と米国でのシェールガス革命によって、

脱石炭、再生可能エネルギーの興隆というトレンドとなっています。

イノベーションはいつ起こるか分かりませんが、

一旦起こるとエネルギー秩序の急激なパラダイムシフトを促します。

脱石油のタイミングは不透明ですが、その来るべき新しい秩序にどう準備するかが問われます。

 

脱中東の米国

トランプ大統領は米国第一のエネルギー政策を掲げ、米国のエネルギー自立を説きます。

その具体的な内容は、以下のとおりです。

  1. 米国内のエネルギーコストの低減
  2. 国内エネルギー資源の最大限の活用
  3. 外国の石油依存からの脱却

シェール革命によりシェールオイル/ガスが安価にとれるようになり、この課題は解決しました。

これにより、従来、アメリカは中東の原油輸送路を守るために巨額の負担を強いられていましたが、

エネルギー安定確保の必要性が薄れ、中東から手を引くという方針転換に繋がっています。

 

混迷の中東

中東の動きは政治情勢や市況、方針転換などから混迷を極めます。

従来、原油市場はOPECと非OPECのせめぎあいによって市場秩序が保たれていました。

しかし、技術革新によって安価に採掘できるようになったシェールオイルが入ることにより、

需給バランスが崩れ、今後の原油価格の大幅な上昇は見込みにくい状況になりました。

そうした中、サウジアラビアは『ビジョン2030』によって、

脱石油の施策をおし進め、いずれ来る「石油の終わり」に備えようとしています。

そのためには公共事業の抑制や宗教上の障壁にも切り込んでいます。

ただ、この急進的な取り組みが中東の社会不安を招きうるという側面も考慮すべきです。

加えて、政治情勢として、今後、シリアの内戦の激化によって国家の一体感が失われ、

また、前述のようなアメリカの動きにより、中東情勢は混迷を極めることが予想されます。

 

日本のありかた

混迷の時代、どのようにエネルギー政策を打ち出していくか。

安全・環境・経済性・安定供給の最適バランスを見出すために時流をよく読むことが求められます。

日本のエネルギー政策はオイルショック以降、以下を追求してきました。

  1. エネルギー消費に秘める石油依存の軽減
  2. 中東以外の石油調達先の拡大
  3. 安定調達先としての中東との関係強化

ただし、前述のように脱石油が緩やかに進む場合は、

コスト優位な中東原油への依存はむしろ高まる可能性があり、

混迷を極める中東とどのように関わっていくか、難しいかじ取りを迫られそうです。

3.11前は、脱石油の手段としての原子力発電が最右翼でしたが、安全・安定操業上の問題を抱えています。

また、再生可能エネルギーは、インフラ設備や劣位な技術力が課題としてのしかかります。

 そうそう容易く脱石油とは言えない情勢は続きそうです。

 

感想

脱石油という文脈で語られるエネルギー政策の話でした。

中国の切り口は控えめに、産油国の中東、バランスブレーカーのアメリカを中心に語られています。

着地点は再生可能エネルギーをどのように普及させるかにかなり寄っています。

再生可能エネルギーを日本でどうバズらせるかは、インフラの問題で難しいという話です。

 

それだと簡単すぎるのでもう少し掘り下げて考えましょう。

読んでて思ったのが、エネルギー政策の話が、中央省庁と企業の観点だけで話されており、

実際に発電所が建設される「地域・地元」の観点が欠け落ちているように感じました。

 

例えば…以下の地熱発電についての議論はそれを如実に表しています。

 

地熱発電について、日本は世界第三位の地熱資源があるものの、

環境アセスメントや立地(国立公園・温泉)の問題から普及が進みません。

 

これって、地域には発電施設を誘致するインセンティブが全くないから、反対するっていう当然の帰結ですよね。

もう少し地域に準拠した議論をした方が、住民を巻き込んだ動きになりそうな気がします。

住民の反対を巻き起こすだけでなく、コンセンサスを得て賛成に乗り出させるような仕組みづくり。

せっかくの地熱・海洋資源(前回の本で言及)があるのですから、

この資源をうまく活用する術を、もっと多くの視点から議論すべきでしょうね。

 

 (再掲)

tommy-june.hatenadiary.com

 

まぁあれですね。

中東も脱石油を考えてるって、『ガンダム00』のようにはならんぞ!ってことですね。 

 

アザディスタン王国

中東にある新興国の1つ。過去に、主人公である刹那の出身国クルジス共和国を武力併合している。他の中東諸国と同様に、化石燃料に依存していたため、各国家群のように太陽光エネルギーの恩恵を受けられず、困窮している。さらに国内では国教の解釈の違いによる保守派と改革派の対立によってテロが頻発している。

(wikipedia)

 

本作は、

ガンダムオタク、鬼太郎ヘアー、ナンパ師、男の娘の個性豊かな4人が繰り広げる珍道中です。

敵キャラも、ストーカーや絵にかいたような噛ませ犬など個性豊かです。

興味があれば…。

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『ガンダム00』より - 右から男の娘、ナンパ師、鬼太郎ヘアー、ガンダムオタク

 

本日はここまでです。

お読みいただきありがとうございました

それではまた~。