Tommyの乱読のススメ

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the four GAFA 四騎士が創り変えた世界/スコット・ギャロウェイ

 

the four GAFA 四騎士が創り変えた世界

the four GAFA 四騎士が創り変えた世界

 

いい感じで読書を進められていますが、中々難しい本だったり長い本をいないなぁと感じていましたが、何とか本書を読み切ることができました。

久しぶりにミステリーでも新書でもない本のレビューです。

 

 

 

GAFAとは

テクノロジー時代の四強(四騎士)、グーグル・アップル・フェイスブック・アマゾンを指します。彼らの製品やサービスは今日何十億人の生活を支えています。今や、彼らを止めることができるのは彼ら自身しかいないまでに勢力を拡大していますが、彼らは何者なのか?本書ではそれを明らかにしていくことがテーマです。

(ただ、本レビューでは各社の各論は思い切ってカットします、気になる方は本書を読んで頂ければと存じます)

 

四騎士の成功の秘訣は?

成功するビジネスは体の3部位のどれかに訴えかけるものであると言います。それは、

①脳:合理性に訴えかける。グーグルやアマゾンは消費者に最適な提案をするため、このアプローチでシェアを得ました。

②心:感情に訴えかける。フェイスブックは自分と家族・友人を結びつけることで集団のつながりを強め、幸福感や承認欲求を満たしています。

③性器:セックスアピール。アップルは魅力的でありたいという消費者の欲求に対し、そのファッショナブルな製品で応えています。

上述のとおり、四騎士は各々、消費者の意欲を刺激しやすい手法でビジネスを展開しています。

 

四騎士の共通因子は?

①商品の差別化

②ビジョンへの投資:共感を得て、投資家を引きつける明確なビジョン

③世界展開

④好感度:マイクロソフトなどはこれで失敗

⑤垂直統合:消費者の消費体験を流通含めてコントロールすること

⑥AI:データへのアクセスとその活用能力

⑦キャリアの箔づけになる:働く人にとって魅力的か(人材確保の観点)

⑧地の利

世界的に見れば、アリババやテスラ、ウーバーといった企業は四騎士に追随しうるポテンシャルがあるのですが、現時点では上記の8因子のいずれかを満たしておらず、まだ比類する相手にはなっていない。ただ、企業の新陳代謝が早い昨今の環境では、これらの企業に限らずどの企業が興隆してもおかしくはありません。

 

GAFA以降の世界で生きるためには?

爆発的に成長する四騎士ですが、雇用はそこまで増えていません。

ITを主軸に置いた彼らの業態故に、労働者をあまり雇用しなくて良いためです。

よって、今後の社会では四騎士に所属する一部の勝ち組と、それ以外の負け組という二極化が進む可能性があります。

こうした経済社会の中、筆者は心理的成熟、好奇心、当事者意識や資格、何かをなし遂げた経験などを身につけることが肝要としています。 

 

 

他にも拾って面白い話がいくつもありましたが、思い切って省きました。

私が興味を惹かれたのは、彼らのビジネス展開の深層にあるターゲット戦略(身体に訴えかける)ということと、共通因子の構造分析でしたので、そこに焦点を合わせました。

特に前者については納得感がありました。

アップルのiPhoneはITを売ることからブランドを売る方向へ舵を切ったというには興味深いです。そのため、代わり映えのしない新機種でも、Apple Storeというディスプレイで魅力的に見せるという高級ブティックのような戦略をとって成功しています。

なんとなく、ブティックの売り方は前近代的という印象を受けますが、これは人間の深層本能に訴えかけている手法なので時代遅れなものではない、、、こういう戦略にゴーサインを出せる経営手腕に感心します。

また、最後の章で警鐘を鳴らされていますが、四騎士のビジネスモデルでは雇用を生み出さないというにが問題視されています。AI化でも議論になる点ですね、自分をコモディティ化しないようにせよというメッセージがありますが、本質的にはそうなんでしょうが、なんだか煙に巻かれたように感じてしまうのも事実。

私としてはGAFAの時代がどこまで続くかも不透明である現時点で、自分がどうすればいいかという結論を出す必要はないと思います。時期尚早というか。そうではなく、常に社会と対話して、どうしていけばいいかという考えを常に刷新していく心づもりが必要なんだろうなと感じました。